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心霊スポットの噂も?天竜川沿いの謎の洋館の正体とは?旧常光水源地ポンプ室

旧常光水源地ポンプ室

天竜川の堤防沿いを車で走っていると、今は使われている様子のない西洋風の古い建物がある。一般の住居や民間の商業施設ではないことは一目見ればわかるが、看板などがないため、一見するとどのような施設は不明である。

謎の洋館だが、実はこの洋館には昔から不可解な噂があることをご存じだろうか?「夜、車で走っていたら建物付近に白い服を着た女が立っていた」「肝試しに行った翌日、高熱が出た」「閉鎖された施設なのに夜になると電気がついている」など。

しかし、噂の真相を探ってみたが、「知り合いに聞いた」「ネットで見た」など、実際に不可解な体験をしたという人に辿り着くことはできなかった。

心霊スポットに明確な定義というものはないが、この洋館が心霊スポットと化した理由は、(1)夜になると極端に交通量が減り人の立ち寄りもない。(2)周辺に馴染まない西洋風の使われていない古い建物。(3)真偽不明の噂が流布している。ことなどが挙げられ、心霊スポットと噂されるようになってしまったようだ。

心霊スポットとしての真偽は定かでないが、それでは この異彩を放つ謎の洋館はいったい何なのだろうか?

実は、この洋館の正体は、国の登録有形文化財(第22-0184号)に指定されている「旧常光水源地ポンプ室」という施設で、貴重な国民的財産ということになる。

旧常光水源地ポンプ室

常光水源地ポンプ室は、浜松市で一番初めに作られた浄水施設の一つで、当時、天竜川の伏流水を高台の住吉浄水場まで送っていたのだが、常光水源地と住吉浄水場では距離が約7キロメートル、高低差が26メートルあるため、取水井戸(水を集める井戸)に集められた水を内部に設置された4機のポンプで取水した水を圧送する役割を担っていた。

工事開始が昭和4年、完成(通水式)が昭和6年という古い建物で、当時としては珍しいモダンでハイカラな作りが目を引くが、それもそのはず、「常光水源地ポンプ室」と「住吉浄水場」の計画顧問は、東海道の起点、麒麟の像が有名な東京の日本橋(お江戸日本橋)を設計した「米元晋一」氏であり、建物としての価値も文化財として指定された理由の一つとしてあるかもしれない。

結果として、心霊スポットを期待した人には残念な結果となるが「旧常光水源地ポンプ室」は、ピラミッドのようなお墓の役割の施設でもなく、真偽不明の噂が流布しているだけで心霊スポットに結び付く要素はなく、貴重な国民的財産ということになる。

【浜松市役所】
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