浜松市の行政区は令和6年1月1日に7区から3区に再編され天竜区以外は区名も変わりました。

浜名湖うなぎ

浜松市・浜名湖といえば、「うなぎ」が名物として有名で、市内には80以上のうなぎ専門店があり、うなぎ料理を出す和食店を合わせたらその数は把握ができない程です。

浜名湖うなぎ

浜名湖とうなぎ養殖の歴史

浜名湖はうなぎ養殖発祥の地とされ、その歴史は、今から100年以上前まで遡ります。明治30年、服部倉治郎は、浜名湖の温暖な気候にくわえ、稚魚のシラスウナギがとれるなど、浜名湖がうなぎ養殖に最適な場所であると判断して、西区舞阪町に約8町歩の養鰻池を作り、浜名湖で15センチほどに成長したクロコウナギ(体長15cm程度に成長したウナギ)と呼ばれるうなぎを捕ってきて育てるという方法でうなぎの養殖を始めました。

服部倉治郎が始めた浜名湖のうなぎ養殖を進化させた人物が村松啓次郎です。

村松啓次郎は、クロコウナギから育ててきた養殖方法では生産量に限界があるとして、卵からかえって間もない色が白いうなぎ「シロコウナギ」から育てる方法を昭和46年に確立しました。

この養殖方法により、生産量を大幅に増やすことができるようになり、浜松がうなぎの産地として知られるようになりました。

実はうなぎ生産量全国4位の静岡県

浜名湖うなぎ

全国的な知名度の「浜名湖うなぎ」ですが、日本養鰻漁業協同組合連合会が公開している、都道府県別ウナギ生産量のランキングを見ると意外な結果に。

第一位が「鹿児島県」、第二位「愛知県」、第三位「宮崎県」、「静岡県」は第四位という結果になりました。ここ数年の上位4県の順位は全く変動がありません。さらに言えば静岡県の生産量は鹿児島県の四分の一以下と大きな開きがあります。

うなぎといえば浜名湖(静岡県) という常識が崩れ始めたのは、1960年頃からと考えられています。理由として考えられるのは、1962年の浜名湖のシラス大不漁です。

歴史的なシラスウナギの不漁により、静岡県の養殖業者が、うなぎを求めて全国に流出してしまったのです。うなぎ養殖が発達していない地域でシラスウナギを買い上げ、その土地でウナギの養殖を始めました。これをきっかけに「ウナギの養殖は儲かる」と気づいた地元の漁協関係者の人たちも、次々とうなぎ養殖業に参入をはじめました。

これをきっかけに生産量を大きく伸ばしたのが、「鹿児島県」であり「宮崎県」だったのです。

浜名湖うなぎブランド

浜名湖うなぎ

浜名湖の養鰻池の面積、業者数の減少に伴い、生産量も大幅に減少しましたが、浜松・浜名湖のうなぎといえば全国的な知名度です。

それは、安心・安全な「浜名湖ブランド」としての鰻を着実に全国へと発信している養殖業者の努力はもちろんですが、浜名湖(舘山寺温泉)は観光地でもあり、うなぎ料理と合わせて発信できるのも強みの一つです。

また、浜名湖のウナギは、ウナギ料理のみならず、様々な文化へと派生していきました。春華堂の「うなぎパイ」は、ウナギのパウダー(ウナギの骨で取った出し汁を粉末にしたもの)をパイ生地に練りこんで焼いた洋菓子で、1961(昭和36)年に開発されました

全国的にも知名度の高いこのお菓子が、浜松・浜名湖といえば、うなぎというイメージに一役買っている部分は大きいのではないかと思います。

浜名湖うなぎの特徴・美味しさの秘密

浜名湖うなぎ

浜名湖周は「日照時間が長く温暖な気候」「綺麗でミネラル豊富な地下水」「豊富で栄養のあるエサ」など、養殖に適しており、ストレスの少ない環境下で育てられた浜名湖うなぎは臭みも少なく旨味がたっぷり。

また、浜松市は日本の真ん中に位置するため、土地柄 東西の食文化が入り交ります。うなぎも「蒸し工程を入れずパリッと香ばしく焼き上げる関西風」「蒸し工程を入れて柔らかくフワッと仕上げた関東風」どちらの調理法のうなぎも味わうことが出来ます。

浜松はウナギ養殖発祥の地ということもあり、古くから営業しているお店も多く、お店独自の秘伝のタレはウナギの味を大きく左右します。

浜名湖うなぎ

お店選びに迷ってしまいそうですが、それも楽しみの一つとして まずは、「関東風」「関西風」どちらを食べたいのかを決めて、タレの味・濃さは実際に食べなければ分かりませんので、食べてみてお気に入りのお店を見つけてください。

絶品!浜松の有名・人気うなぎ店紹介

浜名湖うなぎ

取材したうなぎ職人曰く、「うなぎは脂が乗った食べ時のものが美味しいのであって、天然の方が美味しく、養殖は明らかに味が劣るということはない」「うぎはどこで食べても美味しく、焼き方、タレの濃さなどの好みの問題」ということです。

ここでは、著者の個人的な好みが入らないように、地元住民からの声を元に浜松の人気うなぎ店・話題店をご紹介します。

お店のホームページにリンクします。うなぎ店は職人の家族経営店も多いため、ホームページがないお店も多数あります。その場合は、「食べログ」のお店のページにリンクします。

うなぎ料理 あつみ(中区千歳町)
創業明治40年、100年余りの歴史の、JR浜松駅から徒歩圏内にある浜松屈指の繁盛店
炭焼うなぎ加茂(北区三ヶ日町都筑)
食べログうなぎ百名店、食べログ評価でトップにも選ばれた関西風の名店、開店と同時に店じまいの可能性がある人気店
うな炭亭(中区砂山町)
創業以来60年、吟味した活鰻を最上級の備長炭を使用して焼き上げる本場備長炭鰻専門店
炭焼きうなぎ あおいや(旧店名:かんたろう)(南区飯田町)
食べログうなぎ百名店、静岡新聞社・静岡放送が主催する、どんぶり総選挙で西部地区1位を受賞
中川屋(東区中野町)
創業140年を超える浜松の老舗うなぎ屋、関東風ながら、一般店の2倍の時間をかけて焼き上げるこだわりのお店
さくめ(北区三ヶ日町佐久米)
食べログうなぎ百名店、破格に近い良心的な価格で、郊外でありながら多くの食通が通う人気店
うなぎ藤田 浜松店(中区小豆餅)・駅南店(中区砂山町)
明治25年創業、4代続く浜名湖うなぎの老舗。50年以上、継ぎ足し継ぎ足しで受け継がれる秘伝のタレで仕上げる関東風の人気店
かねりん鰻店(西区入野町)
創業60年以上、上質な鰻を素早く割き、備長炭で外は香ばしく中はふっくらと焼き上げた、シンプルだからこその美味しさ
八百徳 本店(中区板屋町)・駅南店(中区砂山町)
JR浜松駅近くでトロける関東風の上うな重を堪能できる明治創業の老舗うなぎ店。
清水家(北区細江町気賀)
創業70年以上、三代続く老舗の伝統の味。関東風のふわっとしたうなぎと、程よい甘みの秘伝のタレが絶品
うなぎ居酒屋 風来(中区高丘東)
深夜26時まで営業のうなぎ居酒屋。夜遅い時間でもうなぎ料理が楽しめる穴場うなぎ店。