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【遠州鉄道】全国的にも珍しい鉄道会社 遠州鉄道 初乗り料金値上げ

遠州鉄道 初乗り料金値上げ

浜松市中区に本社を置き、新浜松駅(中区鍛冶町)と西鹿島駅(天竜区二俣町)を結ぶ遠州鉄道は、2021年9月29日(水曜)、国土交通省中部運輸局に、鉄道旅客運賃の上限変更認可申請(値上げ申請)を行なったと発表した。

現行の初乗り運賃120円を20円値上げして140円とし、現行160~240円区間は10円加算、現行280円以上の区間の運賃は据え置く。来年2月1日から改定する予定。消費税増税に伴う運賃改定を除くと、39年ぶりの値上げ申請になる。

コロナ禍の影響により利用客が減少し、地上設備の維持・改修や車両更新などに多額の費用が見込まれるほか、少子高齢化による需要減少もあり今回の運賃値上げに至った。

同社によると、2020年度の利用実績は前年度比29%減の729万人。鉄道部門の収入は31・1%減の12億2700万円で、損益は2億3400万円の赤字に転落した。

しかし、遠州鉄道は全国の鉄道会社を中心とした企業グループの中でも極めて珍しい会社として知られている。

理由は、グループの事業規模に対する鉄道運輸収入の小ささだ。鉄道運輸収入はグループの連結売上高の1%にも満たない。

鉄道グループ会社における連結売上高に占める鉄道事業の割合は、JR東海で約80%、JR九州で約40%、私鉄大手が20~25%、鉄道以外の事業規模が大きい近鉄や東急などでも15%程度となっている。バスが主力の地方私鉄では10%を切る事業者もあるが、遠州鉄道の1%未満というのがいかに珍しいかということが分かる。

鉄道以外が稼いでいるということになるが、百貨店やスーパーなどの小売業、観光事業、自動車学校など多種にわたり事業を展開している遠州鉄道グループの稼ぎ頭は「自動車販売事業」である。売上高は遠鉄グループの半数に迫る勢いである。

自動車販売事業とは具体的にはトヨタ自動車のディーラーで、県西部を中心に「静岡トヨタ」と「ネッツトヨタ浜松」の2社を50店舗以上展開している。

鉄道会社がライバルにもなりうる自動車を販売していることに違和感を感じるかもしれないが、地域交通網を制覇するという意味では必ずしも方向性が違っていると捉えることはできない。

また、遠州鉄道は鉄道事業に見切りをつけて自動車販売業に力を注視しているということでもない。地方の中小私鉄の多くは大手私鉄の中古車を購入して再利用しているが、遠州鉄道は独自の車両を自社発注しており、路線は単線だが浜松市街地は高架化され、多くの駅に行き違い設備がある。日中は2両編成の電車が12分間隔の運転を行っている。

他にも、鉄道とバスに対応した独自のICカード乗車券として、首都圏のPASMOよりも早く、電車とバスのIC化を実現している。

鉄道以外のほうが圧倒的に稼いではいるが、片手間で決して手抜きしているわけではないということが分かる。

今回の値上げも地上設備の維持・改修や車両更新に当てられ、今後も安定した鉄道運営に必要な値上げといえよう。