浜松城(公園・天守閣)観光レポート

天下統一を成し遂げた徳川家康の居城として知られる浜松のド定番観光名所「浜松城」ですが、徳川家康が浜松城を築いてから450年の節目となる2020年、450年事業の一環として約5000万円をかけて天守閣内部の展示物などの大幅なリニューアルが行われ、2021年1月1日に一般公開されたので見学に行ってきました。

浜松城は浜松城公園の一角にあり、園内には浜松市美術館もあります。中心市街地にありながら広大な敷地面積を誇る公園なので入口は多数ありますが、直接浜松城に向かいたいのであれば浜松市役所の裏側(西側)から入場するのが便利です。バスを利用する場合「市役所前」「ホテルコンコルド浜松前」「浜松城公園入口」など複数のバス停から徒歩数分となっています。

車で来るのであれば浜松城公園北側(ホテルコンコルド隣)に無料の大型駐車場があります。周辺には有料ではありますが多数のパーキングもあります。敷地内は禁煙となっていて、唯一の喫煙所が駐車場の南側にあります。

余談ですが、昼食を浜松城周辺でお探しなら、駐車場隣りのホテルコンコルドのランチビュッフェがおすすめです。平日なら大人1980円で50種類以上のメニューが4時間食べ放題となっていて大変お得です。

駐車場に隣接した敷地内にスターバックスコーヒーがあります。園内には他に茶屋的なものやお土産屋はなく、飲食ができるのはスタバだけです。スタバが悪いわけではないが、お城にスタバ…。風情がなく少し残念です。

駐車場から南北に抜ける道があり、右側は浜松城公園、左側は現在発掘調査が行われており、真っ直ぐ南に向かうと浜松城天守閣があります。

豊かな自然に包まれた浜松城公園は、昭和25年子供博覧会の開催及び動物園の開園を契機に開設されました。日本庭園、中央芝生広場などを中心に市民の憩いの場として親しまれています。

浜松城二の丸があったとされる元城小学校跡地では発掘調査が行われており、城の構造の解明が期待されます。今後なにか新たな発見があるかもしれません。

南北に抜ける道を真っすぐ南に進むと浜松市役所の裏側に出てきます。坂道を上ると浜松城の天守閣エリアです。浜松城公園周辺案内図では安政年間の浜松城および城下町の様子と、現在の浜松中心部との比較ができます。

天守閣に向かう道を途中で少し外れると浜松城の本丸があったとされる場所に出ます。天守閣が城の象徴なら本丸は城の本拠地といったところでしょうか。

本丸付近には若き日の徳川家康像があります。家康が浜松で過ごしたのは29歳~45歳と若く、浜松城に展示されている家康は、歴史の教科書でよく見る黒い着物のメタボ姿ではなく、若く勇ましい姿の家康が多いです。

銅像を後に天守閣に向かうと荒々しく野積みされた石垣に目が留まります。一見すると無造作に積まれたようにも思えますが、とても堅固で計算された作りで、古い石垣の特徴をよく残しており、浜松市の史跡にも指定されています。

石垣に沿って階段を上がると浜松城の中枢にあたる「天守曲輪(てんしゅくるわ)」の入り口に建つ「天守門」が現れます。

威圧感あるその門は、攻める側からすると聳え立つといった表現が正しいでしょう。「天守門」は明治6年に解体され、この天守門は2014年(平成26年)に復元整備されたものです。

天守門をくぐると目の前には浜松城の天守閣が現れます。家康が去ったのち浜松城主となる事が、幕閣への登竜門とさえ言われ、江戸時代には歴代城主の多くが幕府の重役に出世したことから「出世城」とも呼ばれています。

天守閣の入場は大人(高校生以上)200円の入城料が必要となります。浜松城の入場券を持っていれば「松韻亭」「浜松まつり会館」で割引サービスを受けることができます。

城内に入ると左側に受付があります。地上3階、地下1階3つのエリアに分かれ、パネル展示、当時の様子を知りうる資料、鎧や刀などの家康にまつわる品物などが多数展示されています。

引間城と浜松城に関する出土品(桔梗紋軒丸瓦・無字銭紋軒丸瓦・浜松城本丸南側の堀出土品・引間城の出土品・浜松城下町の出土品)や復興天守閣の建築に関する収蔵品が多数展示されています。

徳川家康所用の甲冑が展示されています。残念ながらこちらの甲冑は複製品で、現品は重要文化財に指定され、久能山東照宮博物館が所蔵しています。

リニューアルされた展示は1階を「情熱の層」として、新しい展示はデジタル技術を駆使し、映像・音・光による演出で徳川家康最大の負け戦「三方ヶ原の戦い」のを迫力の映像で紹介しています。

日本の城は海外の観光客にも人気で、インバウンドを意識した展示物の多言語訳(英語、ポルトガル語、中国、簡体、韓国語)にも対応しています。

城内の四ヵ所にスタンプが設置されていて、クイズの答えを探して全てのスタンプを重ねて押すと一つのスタンプが完成します。城内の売店では御城印も販売されていて、御城印は神社の御朱印とは異なり、記念スタンプのようなものです。

地下には井戸があります。城にとって水は極めて重要であり、戦国時代の城の水利は極秘だったため浜松城の場合も資料が残っていなく、詳しいことは分からないそうです。

2階部分は「情勢の層」として江戸時代後期、天保年間(1830~1843)頃の浜松城と城下町をジオラマ模型とプロジェクションマッピングで再現、どのように発展してきたかを解説しています。

3階部分は「情景の層」として、天井に歴代城主の家紋をあしらい、木造をイメージした内装に生まれ変わりました。

3階は浜松城の歴代城主が見たであろう城下を全方向から望むことができる展望スペースになっています。市内には浜松城よりも高層の建物はたくさんありますが、城からの景色ということで城下町を見渡す殿様の気分を味わえます。

ただし、浜松の中心市街地にあるため、すぐ隣を常時車が行きかう大通りがあり、複数のビルが建っているため、城下町的な風情は感じられないのが残念である。

毎週日曜日の午後1時には浜松市のゆるキャラ、出世大名「家康くん」と、出世法師「直虎ちゃん」が登場します。