浜松市独自のコロナ「警戒宣言」とは?内容、強制力・効果・実効性、補償は?

浜松市の鈴木康友市長は、2021年8月4日、新型コロナウィルスの感染者が54人と過去最多を更新、市内で感染が急速に拡大している状況を受け、5月以来2度目となる浜松市独自の「感染拡大警戒宣言」を発令した。

疑問に思っている人も多いようですが、浜松市はなぜ?「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」ではなく、浜松市独自の「感染拡大警戒宣言」なのでしょうか?詳しい内容、強制力・効果・実効性、補償はどうなっているのでしょうか?

ビックリすることに「感染拡大警戒宣言」の具体的な内容は下記の4項目だけです。

  1. 不要不急の県外及び市外への移動は、帰省を含めて自粛してください。
  2. やむを得ない場合は、自主的にPCR検査を行うなど対策を十分に講じてください。
  3. 大人数での会食やパーティー、バーベキュー等は自粛してください。
  4. こまめな換気を行うなどより一層の感染対策の徹底をお願いいたします。

全てお願いベースで、法的な強制力は一切なく、強制力を持って私権の制限するわけではないので、補償も一切ありません。

【補償の回避】

このことから「感染拡大警戒宣言」には意味がないと思われるかもしれないが、実は「感染拡大警戒宣言」には市側にとって意味があるのです。

例えば、「感染拡大警戒宣言」ではなく「緊急事態宣言」を発令して飲食店に休業や時短営業、酒類提供の自粛をお願いした場合、一定の補償が必要となります。

しかし、緊急事態宣言ではなく、感染拡大警戒宣言であれば補償をすることなく休業や時短営業、酒類提供の自粛をお願いできるのです。

【効果・実効性】

効果・実効性はどうかというと、政府が五輪開催でお祭り気分を盛り上げながら、一方で緊急事態宣言で外出自粛を要請する矛盾した状況を作り出してしまっているため「五輪を開催できるのだから外出も帰省も大丈夫」という「楽観バイアス」を醸成してしまった。これは「Go to キャンペーン」強行と同じ構図である。

このため、緊急事態宣言が意味をなさない現状で、浜松市が独自に発令する「感染拡大警戒宣言」に効果・実効性があるかは疑問がある。

お願いベースで、法的な強制力はなく、補償も一切ない。実効性・効果も期待薄の「感染拡大警戒宣言」を浜松市が発令する理由は、注意喚起しましたよという「やっているアピール」&「補償を支払わずに済む手段」と言わざるを得ない。